「異世界ファンタジーで15+1のお題」五
012:指先
*
「ごめんな、狭くて……」
「ううん、僕の方こそごめんね。」
僕のために用意してあった部屋は、アズロが使うことになり、僕はライアンと一緒のベッドで眠ることになった。
大人同士が一つのベッドで寝るなんて、なんだか照れ臭いけど、でも、僕はライアンにどうしても話したいことがあったから。
「ライアン…子供の頃、お互いの家によく泊まりっこしたよね。
なんだか、あの頃のこと…思い出すよ。」
「そうだな……
俺のベッドはこれよりもずっと狭かったから、次の朝にはたいてい俺がおまえを押し潰しそうな格好になってて…
それなのに、おまえはそんなこともいやがらずうちによく泊まりに来たよな。」
「……そうだったね。
今では押し潰されたくても押し潰されないからね。
……良い思い出になったよ。」
「シンファ……」
僕のつまらない冗談が、ライアンの声を途端に沈ませた。
「あ、ごめん……
つまらないこと言っちゃったね…」
「いや…俺の方こそ……」
ライアンがそう言ったっきり、部屋の中に気まずい沈黙が流れた。
「あの…ライアン……」
沈黙に耐えきれなくなった僕は、彼に小さな声で話しかける。
「なんだ?」
「あ……あの、ライアン……本当にごめんね。」
「ごめんって、なにが?」
「う、うん……
……僕……君のことを信じきれなかった。
村の人や母さんの想いに気付けなかった…
そして、君達のことをずっと恨んで……」
込みあがる感情に、声が震えないように、一言一言、僕はゆっくりと話した。
僕がライアンに言いたかったその言葉を。
「馬鹿…そんなの当たり前じゃないか。
おまえにそう思われるくらいじゃないと、軍隊の奴らの目もきっと欺けなかった。
おまえが謝ることなんてひとつもないんだ。」
「ううん、そうじゃない!
僕は…気付くべきだったんだ。
僕の身体がこんな風になってからのことを考えれば……気付ける筈だった。
なのに、僕は、自分のことしか考えてなかった…
……だから、真実に気付けなかった……」
「そんなこと、当たり前だ。
俺だっておまえみたいなことになったら、きっと同じだったと思う。いや、もっと酷かったかもしれないぞ。
俺はおまえよりも感情的だし、皆に迷惑かけて暴れまくってたかもしれない。
俺はおまえの苦しみを想像することしか出来ない。
だけど、おまえはそれを体感してるんだもんな。
それに、まさか、こことは違う方向に行ってるとも、金に気付いてないとも思わなかった。」
ライアンはそう言って、呆れたように小さく笑った。
「ごめんな、狭くて……」
「ううん、僕の方こそごめんね。」
僕のために用意してあった部屋は、アズロが使うことになり、僕はライアンと一緒のベッドで眠ることになった。
大人同士が一つのベッドで寝るなんて、なんだか照れ臭いけど、でも、僕はライアンにどうしても話したいことがあったから。
「ライアン…子供の頃、お互いの家によく泊まりっこしたよね。
なんだか、あの頃のこと…思い出すよ。」
「そうだな……
俺のベッドはこれよりもずっと狭かったから、次の朝にはたいてい俺がおまえを押し潰しそうな格好になってて…
それなのに、おまえはそんなこともいやがらずうちによく泊まりに来たよな。」
「……そうだったね。
今では押し潰されたくても押し潰されないからね。
……良い思い出になったよ。」
「シンファ……」
僕のつまらない冗談が、ライアンの声を途端に沈ませた。
「あ、ごめん……
つまらないこと言っちゃったね…」
「いや…俺の方こそ……」
ライアンがそう言ったっきり、部屋の中に気まずい沈黙が流れた。
「あの…ライアン……」
沈黙に耐えきれなくなった僕は、彼に小さな声で話しかける。
「なんだ?」
「あ……あの、ライアン……本当にごめんね。」
「ごめんって、なにが?」
「う、うん……
……僕……君のことを信じきれなかった。
村の人や母さんの想いに気付けなかった…
そして、君達のことをずっと恨んで……」
込みあがる感情に、声が震えないように、一言一言、僕はゆっくりと話した。
僕がライアンに言いたかったその言葉を。
「馬鹿…そんなの当たり前じゃないか。
おまえにそう思われるくらいじゃないと、軍隊の奴らの目もきっと欺けなかった。
おまえが謝ることなんてひとつもないんだ。」
「ううん、そうじゃない!
僕は…気付くべきだったんだ。
僕の身体がこんな風になってからのことを考えれば……気付ける筈だった。
なのに、僕は、自分のことしか考えてなかった…
……だから、真実に気付けなかった……」
「そんなこと、当たり前だ。
俺だっておまえみたいなことになったら、きっと同じだったと思う。いや、もっと酷かったかもしれないぞ。
俺はおまえよりも感情的だし、皆に迷惑かけて暴れまくってたかもしれない。
俺はおまえの苦しみを想像することしか出来ない。
だけど、おまえはそれを体感してるんだもんな。
それに、まさか、こことは違う方向に行ってるとも、金に気付いてないとも思わなかった。」
ライアンはそう言って、呆れたように小さく笑った。