話術師フェイス
「ここからは『交渉』ですから・・・。イツまでも体たらくでやるわけには行きません。」



 ボクは、正面を見据えながらゆっくり深呼吸をして、無理やり心の動機を押さえ込んだ。



「そりゃそうだ。私だって無条件であなたに情報を与えるわけには行かないわ。あなたがフェイスくんだという保障はどこにもないんだしね。」



 確かにそうだ。



 彼女から言わせれば、万が一ボクが日本史ナンバーの誰だったらこの場で命を奪われている。



 今考えれば、よく直接会おうと考え付いたものだ。



 だけど・・・。



「うさ美さんほどの人がボクの顔を確認してなかったのですか?」



「言葉のあやよ。」



 なるほど。



 さすがは、嘘つきウサギだ。



「・・・日本史ナンバーの正体を知りたいと言ったのは、ネットで話したとおりです。このままだとボクは劉備さんの手によって殺されます。その前に何とかして彼を打破する手がかりみたいなものが欲しいんですよ。」



 正直な理由。



 『嘘つき』に対して真言がどれほど通用するものか・・・。



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