話術師フェイス
「卑怯な言い方をするのね・・・。」



 言葉の呪縛。



 だけど・・・



「別に、うさ美さんに通用するとは思ってませんよ。」



 嘘つきの真骨頂は非道にある。



 感情に流されず、たとえ相手が恋人とは言え、損得感情だけで平然と裏切る。



 故の『嘘つき』。故の要注意人物。



 まともな交渉なんて出来るはずもない・・・。



 そう・・・・『まとも』な交渉なんて・・・・。



「その言い方が卑怯だというのよ。そんな言い方をされれば誰だって話さないわけにはいかなくなるわ。」



 怒気のこもったうさ美さんの声。



 文字だけの会話ではない。



 人と人が直接話すというコトは、感情と感情のぶつかりあいだ。



 言葉だけではない、文字だけでは決して襲われることのない圧力がボクを襲う。



 だが、そんなことで冷静さを欠くわけには行かない。



 コレは『勝負』だ。



 いかにして『嘘つき』から情報を得られるか・・。



 『厄介者』の力を見せてやる・・・。

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