話術師フェイス
「言うものね・・・。まぁ、いいでしょう。どちらにしてもこの場にあなたを呼んだ時点で、私の気持ちは決まっていたわけだから。」



 分かっていた。



 だからこそ、こんなに落ち着いて話せたのだ。



 コレが、本当の交渉だったら、ボクは面と向かった時点であっさり言いくるめられてしまっていただろう。



 実際の会話は・・・本当にきつい。



「話をする前に一つ聞きたいのだけど、あなたは日本史ナンバーをどのような組織と考えているの?」



 まぁ、それぐらいの探りは入れるか・・・。



「一般的な意見では日本史ナンバーはアルペクス社員、白竜は、アルペクスルからマルディウスのサーバーを狙うハッカー集団というコトになっていますね。」



 マルディウスを管理する株式会社アルペクス。



 東京に本社を置き、インターネットで調べれば簡単に見つかるどこにでもある普通のIT企業。



 社長は『山之内たかし』という若干29歳の男性。



 普通に考えれば、彼が『大和』と言うコトになるのだが・・・・・



「まさか、そんな話を信じているわけじゃないでしょ?」



 当然。



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