話術師フェイス
「巧みな話術で相手を翻弄し、わずかな隙を見逃さない。そして何よりも鋭い勘を持ちえて、相手の野望をことごとく打ち破る最強ナンバー『話術師フェイス』・・・か・・・。確かに鋭い読みね。」



 そこまで言われているのか・・・ボクは・・・。



「なんと言おうと勝手ですがね・・・。あまり過大評価されるのは嫌なものです。」



 だからといえ、過小評価をされるのを好むわけではない。



 人間とは、とかく自分の現状に不満を抱きたがるものだ。



 まぁ、それが人間社会の文化をここまで促してきたのだから文句は言えないのだが・・・。



「あなたが謙遜すると、それすらも罠に感じるのは不思議よね。」



 それは、お互い様だ。



 あなたが褒めると、ボクにはそれすらも罠に感じる。



 もはや、ここでまともな話なんてできるのだろうか・・・。



「そういう喋り方を心がけていますからね・・・。それでうさ美さん、話をそらそうとするのは辞めてください。」



 自分でそらした気もしなくもないが、それでもボクは当初の目的を忘れてはいない。



 日本史ナンバーの正体を知る。



 ・・・・全ては劉備を倒すため。



 キララを殺した犯人を追い込めるため・・・・・・・・・。



 愛するものを殺された恨み。



    ・・・・・・・復讐なんて下らない・・・・。



 実際に愛するものを殺されてから、その言葉を吐いてみろ。
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