話術師フェイス
 フェイス:「それで、話を誤魔化せると思わないでください。質問しているのはボクのほうだ。」



 劉備:「フム。その通りだな・・・。では一つ一つ答えるとしよう。まず今になって僕が君の前に現れた理由だが、『今になって』という表現は的確ではない・・・というのが答えと言ったところだ。」



 そういう答え方をするのか・・・。この『劉備』は・・・。



 フェイス:「つまり、もっと早く現れたかったのだが、何かしらの理由があって今までボクの前に現れることが出来なかったということですね。」



 フェイス:「そして、その理由は、おそらくアイツが集めた新白竜の相手をしていた・・・と言ったところですか?」



 もちろん、ただの勘・・・だけど、ノーヒントではない・・・。



 ・・・なぜアイツが罠と知っていたのに、一人でボクに挑んできたのか・・・。



 今、この状況で冷静になって考えれば、自然と出てくる答えだ。



 劉備:「恐ろしい。本当に恐ろしいな、話術師というのは・・・。まさか、ここまで見抜く力を持っているとはな・・・・・・。失礼だが、今この瞬間ほど僕は最後まで傍観者であったコトに感謝したコトはないよ。」



 ・・・・・『傍観』・・・・・・・。



 今まで見ていたのか・・・。



 それだけの力があったというのに・・・。



 誰に手を出すことにもなく、誰に手を貸すこともなく・・・・・・・・。


< 177 / 207 >

この作品をシェア

pagetop