話術師フェイス
「まぁ、そうでなくてもボクに接触したがる女性なんて二人だけですから・・・。」



 日本史ナンバー弥生と、元・白竜うさ美



 われながら壮絶なメンバーだと思うが、それが事実なのだから仕方がない。



 そして、アレだけの挑発をしてきた弥生さんが、たった一人でこの場に現れるというコトは考えにくかった。



 もちろん、代理という発想もあるが、それでも若い女性一人というのはあまりに不自然だ。



 彼女の目的があくまでボクの邪魔だと言うならば、もしこの場に来るのならば複数、もしくは分かりやすく武器を所有していない方がおかしかった。



「あっそ・・・。ところで正面を向いてないで、少しはこっちを向いたら?話しにくくて仕方ないわ。」



 うっ・・・。



 そこを突かれると痛い。



 正直、ボクはこういう正面切った会話と言うのが、ものすごく苦手だった。



 ひきこもりの大半は後天的な人間不信に陥ると言うが、例に漏れず、ボクもその通りだった。



 文字だけの会話ならともかく、どうしても体面きっての直接会話になると上がってしまう。



 おそらく、ボクが「話術師」として活躍できる場所は、ネットの世界だけなのであろう。



 劉備さんたちを相手にするには、その力はあまりに微弱すぎる・・・。


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