太陽と月
その人の後ろに立つと無意識に傘をさし出していた。




「…これ使って下さい」




ハッと後ろを振り返って、あたしを見た。



初めて目が合った瞬間だった。



あの瞳に今あたしが映ってると思うとドキドキする。



そんな感情が、あたしの中を駆け回っていた。





「萌音―!!」





葵の声で我に返り後ろを振り返ると葵が手を振っている。



あたしは慌てて、その人に無理やり傘を握らす。



「あたし折りたたみ傘持ってるから、この傘使って下さい」



そして、あたしは葵の所まで急いで戻った。
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