太陽と月
周りの景色が全て違って見える。



さ迷っていた自分が嘘のようにキラキラと輝いてた。



今、隣りにいる人が運命の人だって信じてる―。





「…萌音?どうした?」



あたしが我にかえると坂下先輩が、あたしの顔を覗き込んでいた。



「何でもないです。ただ坂下先輩が隣りにいる事が信じられなくて」



あたしは素直に思った事を口にした。



本当に嬉しかったんだ。



あなたが隣りにいてくれる事が―。



「俺だって信じられないよ」



ハニカミながら笑う坂下先輩が可愛かった。



「手出してみ?」


「えっ!?」


「いいから!」



坂下先輩は、あたしの手を握り目をつぶる。



「俺達この先何があっても、この手を離さないって約束しよう」



この言葉が何を意味するのか、この時のあたしにはわからなかった。



けど、あたしは何があってもこの手は離さないって決めたんだ。
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