プリキス!!
*
「それにしても……やっぱお金持ちでもヤンキーはヤンキーなんだね。」
廊下を歩いてて、二人に頭を下げる人達は皆すごい髪をしてたり、凄い腰パンだったり。
その辺は、漫画の世界とは変わらないな。
「まー、この街で起こってる事は全部世間には公表されないし、調子乗ってる奴も多いよね。」
「恵がこの中で一番偉いってのも違和感だよねぇ。」
「ところで烏丸。……それは、無意識なの?わざとなの?」
「え?」
コホンと1つ咳払いをして橘が言ったのは、私が掴んでる恵の袖だった。
「あ、ごめん、恵。袖が伸びちゃうね。」
一応隠飛羽のだから、それなりに高いよね。
「いいよ。手の方がいいんじゃない?」
「ん。」
差し出された手を握る。
「無自覚なんだよなぁ……。」
橘が小さい声で何か言ってたけど、よく聞き取れなかったや。
「ところで、不良といえば姫がお決まりですが。」
「お決まりなの?」
「当たり前でしょ!」
ええもう枕詞並に。垂乳根の→母、ヤンキー→姫くらいだと力説してやりましたよ。
「王道の展開としては、イケメン総長と天然の姫との恋だよね。あと腹黒副総長とか萌えるよね!」
橘は苦笑いしてた。
やれやれ、みたいにね。
恵は……
「…………初伊が西凛に来ればきっと全部出来るよ?」
なんて言ったけど、私は萌えたいのであって、実体験したいわけじゃなくて、
むしろ萌える展開をお客さんとして見たい派なんで、却下ね。