プリキス!!



「えー……どうしよ……これ、誰かにバレたらまずいよな……。」



複雑な家族構成。


一般家庭でも問題なのに、烏丸財閥の社長の家族の話なら、きっとスキャンダルものだろう。



取り敢えずは胸の内にしまっておこう。


そう決意した






はずだった。



「え、今初伊ちゃんが吉良君の妹って言った?あっは。何言ってんの。なわけないじゃん。」


見ればわかるよと鼻で笑われる。




翌日、美琴先輩に調べたことを告げた。

勿論あの事は伏せて、初伊先輩と吉良先輩が兄妹だって伝えた。



即嘘だってバレた。




「とっとと言えよ。」




口調も変わり、黒くなっていく美琴先輩に俺は負けた……。


初伊先輩……さーせん。




「……言わないで下さいね!マスコミにリークしちゃだめっすからね?!」











「へー。本当は、花京初伊ちゃんって言うんだ。名前可愛いー。」


「反応薄っ!」


「名前が本当は違うって事は流石に知らなかったよ。さすがMrハッキング。よくできましたー。パチパチパチー。」



扱い、雑。

褒められた感がまったくない。



「……あざっす。」

「あ、そーだ。僕も色々調べたんだよ?偉いでしょ。聞きたい?」




多分調べたのは、東麻組の若い人達なんだろうな。


きっと夜中に電話がかかってきて、徹夜で調べさせられたんだろう。


お疲れ様です。



制服のポケットの中から美琴先輩は紙を取り出した。




「まずー、現烏丸財閥社長、烏丸真尋がクイーンと烏丸吉良の実の父親に当たるんだよね。


で、烏丸真尋には兄がいた。名前は烏丸智秋(からすま ちあき)。で、奥さんが旧姓花京美里(はなみや みさと)さんっていうんだって。」


「花京って……。」


「そう。だから初伊ちゃんの本当のお父さんとお母さんは、彼ら。つまりクイーン達とは正確にいえば従兄妹の関係だねぇ。」


「良かった……!そこまでどろどろした昼ドラみたいな血縁関係じゃなかった!!」



その智秋さんが花京家の婿になったから烏丸先輩は花京姓なんだ。


そう思って。




「でもさぁ、初伊ちゃんのお父さんとお母さん、だいぶ前に亡くなってるんだよね、交通事故で。」



十一年前だから、初伊ちゃんが4歳の時だねぇ、と呑気に言う美琴先輩。



「どっちにしろ、そんなに明るい身の上じゃないみたいだよ。」


「美琴先輩、そのネタ使って初伊先輩脅したり……。」


「しないしない。」


「吉良先輩脅したり……。」


「え、吉良君は良くない?別に。」



良くないっす!と反論。


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