プリキス!!
「えー……どうしよ……これ、誰かにバレたらまずいよな……。」
複雑な家族構成。
一般家庭でも問題なのに、烏丸財閥の社長の家族の話なら、きっとスキャンダルものだろう。
取り敢えずは胸の内にしまっておこう。
そう決意した
はずだった。
「え、今初伊ちゃんが吉良君の妹って言った?あっは。何言ってんの。なわけないじゃん。」
見ればわかるよと鼻で笑われる。
翌日、美琴先輩に調べたことを告げた。
勿論あの事は伏せて、初伊先輩と吉良先輩が兄妹だって伝えた。
即嘘だってバレた。
「とっとと言えよ。」
口調も変わり、黒くなっていく美琴先輩に俺は負けた……。
初伊先輩……さーせん。
「……言わないで下さいね!マスコミにリークしちゃだめっすからね?!」
*
「へー。本当は、花京初伊ちゃんって言うんだ。名前可愛いー。」
「反応薄っ!」
「名前が本当は違うって事は流石に知らなかったよ。さすがMrハッキング。よくできましたー。パチパチパチー。」
扱い、雑。
褒められた感がまったくない。
「……あざっす。」
「あ、そーだ。僕も色々調べたんだよ?偉いでしょ。聞きたい?」
多分調べたのは、東麻組の若い人達なんだろうな。
きっと夜中に電話がかかってきて、徹夜で調べさせられたんだろう。
お疲れ様です。
制服のポケットの中から美琴先輩は紙を取り出した。
「まずー、現烏丸財閥社長、烏丸真尋がクイーンと烏丸吉良の実の父親に当たるんだよね。
で、烏丸真尋には兄がいた。名前は烏丸智秋(からすま ちあき)。で、奥さんが旧姓花京美里(はなみや みさと)さんっていうんだって。」
「花京って……。」
「そう。だから初伊ちゃんの本当のお父さんとお母さんは、彼ら。つまりクイーン達とは正確にいえば従兄妹の関係だねぇ。」
「良かった……!そこまでどろどろした昼ドラみたいな血縁関係じゃなかった!!」
その智秋さんが花京家の婿になったから烏丸先輩は花京姓なんだ。
そう思って。
「でもさぁ、初伊ちゃんのお父さんとお母さん、だいぶ前に亡くなってるんだよね、交通事故で。」
十一年前だから、初伊ちゃんが4歳の時だねぇ、と呑気に言う美琴先輩。
「どっちにしろ、そんなに明るい身の上じゃないみたいだよ。」
「美琴先輩、そのネタ使って初伊先輩脅したり……。」
「しないしない。」
「吉良先輩脅したり……。」
「え、吉良君は良くない?別に。」
良くないっす!と反論。