プリキス!!





「甘いよぉ、蛍は。」


そんなんじゃヤンキーやっていけないよ?と先輩は微笑む。


というか俺はヤンキーになったつもりはないよ……。


あの日、俺をスカウトしに来たあんたは「参謀になってよ」って頼みに来たんだから。


















いつも通りの平和な午後。


美琴先輩はうとうとと(眠っていれば)天使の寝顔で寝てるし、


他のヤンキー達もゲームをしたり、麻雀をしたり思い思いに過ごしてる。



かくいう俺も、同い年のヤンキー達とババ抜きをして遊んでいた。


健全だよね。




なぜかって?

恐怖の司令塔が寝ているからですよね。





ジャジャジャジャーン♪



ベートーベンの“運命”。


それがテーブルの上のピンクのスマホから鳴り出した。


麻雀やってた人も、本読んでた人も、喋ってた人も全員動きが止まって。



「……そーちょー……電話っすよー……。」



近くにいたスキンヘッドのヤンキー、西島先輩が美琴先輩を起こしに行った。



「総長……そ「……ちっ。」ひぃぃ!」



しかしながら、眠ってるのを無理矢理起こされた美琴先輩ほど恐ろしいものはない。


あんなに天使の寝顔だった筈なのに、今はホラーだ。



「蛍ぃぃ!頼むぅぅぅ!」


涙目の西島先輩。



「お前しか、総長を起こせる奴はいねえぇぇ!」

「俺も無理っすよ!」


突然の無茶振りに、俺は手をブンブン振って全身で拒絶した。



「土下座すれば起こしてくれるか?!」

「先輩、やめて下さい、落ち着いて!」

「やめろよ、二人共!そんなに騒いでると起きるだろ!」

「ちょっ、お前、フラグたてんのやめろよ!」




ガタン、と音がした。


誰も音の方を振り向かない。振り向けない。



「……てめぇらぁ……うっせーんだよ……。」



悪魔が、ご降臨なされたからだ。


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