プリキス!!
「女って怖いよねぇ。」
「またあの人っすか。」
美琴先輩は、机の上に置いてあったペットボトルを空けながら答えた。
「そ。でも使えるだけ使ったし、そろそろ切ろうかなーって思ってる。」
「あの人と初伊先輩、関係あったんすね。」
電話でデンジャラスな依頼をされていて凄く驚いた。
清楚系で恨みを買いそうにない人でも、あんなふうに言われるんだなぁと女の怖さ、再確認だ。
「なーんかねー、今日初伊ちゃんが西に来るんだって。それが気に食わないみたいよ。」
“西”。
その言葉を聞いてきて、ふと頭に浮かぶ疑問。
「本当に西巴先輩って、初伊先輩の事好き……なんすか?」
それを聞いて美琴先輩は僕に聞かないでよ、と笑った。
「そんなの知らないけどさ……調べたら出てこなかった?写真とか。」
「仲良さそうに写ってるのがありましたけど……。でも、あの西巴先輩っすよ。」
凄く綺麗な人だけど、彼、西巴恵には冷徹、冷血……なんて言葉がよく似合うと思う。
連盟総長や副総長同士が集まる通称“親睦会”で初めて会ったときは、無表情で、にこりともしなかったあの人。
「あの人が好きとか言ってる所、想像出来ないっすよ。」
「僕も想像出来ない。でも初伊ちゃんには言うのかなぁ。見てみたいなぁ。」
絶対爆笑物だって!!と美琴先輩は言う。
「……もしさぁ、初伊ちゃんが東に攫われたとするじゃん。そしたら、誰来ると思う?」
「南城先輩の彼女なら……南城先輩は来ますね。で、吉良先輩は従兄妹だから来る……。
でも、西巴先輩は来ないと思います。たとえ浮気相手でも。」
あの人はたかが女一人の為に面倒な事をするような人じゃない。