プリキス!!




そんな思いが通じたのか、初伊先輩は急いだ様子で家から出て来た。



息を切らしながら出てきた先輩。

わー……やっぱり人形みたいな人だなぁ。




この人バイクに乗れるんだろうか。

とゆーか、なんか悪役っぽいこと言った方がいいのかな。


いや、まず自己紹介だろ。



第一声に何を言うかでその人の印象が決まる、と何かの本に載っていた。


取り敢えず印象良くしよう、なんて考えてるうちに初伊先輩は勝手にバイクに乗り込んできた。



「東榮まで。」

「ちょ、タクシーじゃないんすから。」



俺の第一声はツッコミで終わってしまった。




見た目とは違い、アグレッシブだった初伊先輩。


あの人、熱があるのに無理をして此処まできた。



ずっと“姫先輩は?”って俺に聞いてきて、宮前先輩を心配してる。


あんな人、助ける価値はないのに。






ずっと本当の事を言いたかったけど、言えなかった。


なんだか、初伊先輩の気持ちを踏みにじるような気がして。



もうこの際、美琴先輩に怒られてもいい。

だから、せめてものお詫びにこの人を帰そうとすれば、キレる。



「平気だっつってんでしょ!」


その後も、キレるキレるキレる。


今更ながらこの人、まったく清楚系じゃないな。


最後には一人で中に行こうとして。


いや、待とうよ!


あんた自分の見た目を自覚しろよ!


頑固な先輩のせいで、不本意ながら本来の目的を達成してしまった。



その後、廊下で倒れた初伊先輩。


背負ったものの、物凄く軽い。


ご飯食べてるのかこの人ってくらい軽かった。





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