プリキス!!
東麻君は、凶悪とは全く無縁そうな、優しそうで可愛い笑顔で微笑んで言った。
こんな状況じゃなきゃ、可愛い……!なんて言っていたに違いない。
真っ白な肌に、大きな目。
ヤンキーの象徴、金髪もまるでもとから地毛が金髪だったみたいにハマってる。
うん、吉良。やっぱり見た目はエンジェルだね……。
ファミレスで、女の子が騒いじゃうのも分かるよね……。
「美琴先輩、ソファー譲ってくれません?」
「どうして?」
「初伊先輩が、熱あるんすよ。」
「熱?……ああ、だから休んでたんだっ。」
そういうと、東麻君は立ち上がってこっちまで歩いてくる。
私が小さいのか、東麻君が大きいのか。
意外と身長差ははあるみたいで。
東麻君はしゃがみこみ、上目遣いで私を見た。
「ごめんね……?」
殺傷能力が半端なかった。
「……っ、ごめんとかは要らないから、姫先輩を……宮前先輩を返して。」
「返すよ。初伊ちゃんが約束どーり来てくれたからね。」
えらいえらい、と頭を撫でられる。
なんか子供扱いされてる気がする……。
コツン。
「んー、熱いねぇ。向こうになんか冷やせるものあったかなぁ……。」
「っ。」
東麻君は平然として私の額と自分の額をくっつけた。
物凄い距離が近い……。
もしかしたら彼は、恵と同じようにスキンシップ過多なのかもしれない。
「顔、赤いよ?」
そう言って、東麻君は部屋の奥にある冷蔵庫に向かった。