プリキス!!


「おたくの総長さん、ちょっと近すぎません……?」


「いやー、活き活きしてますねえー……。」




なんかもう、色々とキャパオーバー。

今だけで、げっそりと効果音がつきそうなくらい疲れた……。






冷えピタあったー!と奥から声がして。



その後東麻君はそれをもって、さっきまで座ってた場所に座り直した。


手でこまねかれて、私はソファーに近づいた。





「初伊ちゃん、ここに横になって?」


とんとん、と東麻君は自分の太腿も叩く。






いや、とんとんじゃなくてさぁ!

……あったばかりの人に……膝枕なんてさせられるか!






「東麻君……よけてもらえる?」


自分的、渾身の笑顔でそう言ったけれど、東麻君はもろともしない。


しれっとした顔で、なんで?と言った。





「なんでってねぇ……わっ……!」



グイッと腕を引っ張られて。

もともと体調不良。くらくらする中で引っ張られて、私は簡単にバランスを崩した。




「ふふ、隙ありだねっ。」




そして微笑む東麻君の太腿の上に頭を乗せてしまった。





髪をかきあげられて冷えピタを貼られる。

にこっ、と笑う天使フェイス。



思わず流されそうになる、最高の笑顔。



でもこれは天使フェイスなんかじゃない。


笑顔の裏に黒いものが見え隠れしてる、悪魔フェイスだ。






「美琴先輩、相手は病人なんすから、そーゆーのはやめてあげてくださいよ……。」


「蛍君……!」




常識人!救世主!なんて心の中で崇め奉っていたら、何やら黒い気配を感じた。





「蛍君……ねえ。」




オーラを発してるのは、東麻君。


「随分仲良くなったね、蛍?」





ああ、蛍君。

折角東麻君をブラックにしない方法を教えてもらったのに、その努力は報われなかったみたいです……。


初対面でも分かる。


これがブラック東麻君だ。



< 118 / 422 >

この作品をシェア

pagetop