プリキス!!
「おたくの総長さん、ちょっと近すぎません……?」
「いやー、活き活きしてますねえー……。」
なんかもう、色々とキャパオーバー。
今だけで、げっそりと効果音がつきそうなくらい疲れた……。
冷えピタあったー!と奥から声がして。
その後東麻君はそれをもって、さっきまで座ってた場所に座り直した。
手でこまねかれて、私はソファーに近づいた。
「初伊ちゃん、ここに横になって?」
とんとん、と東麻君は自分の太腿も叩く。
いや、とんとんじゃなくてさぁ!
……あったばかりの人に……膝枕なんてさせられるか!
「東麻君……よけてもらえる?」
自分的、渾身の笑顔でそう言ったけれど、東麻君はもろともしない。
しれっとした顔で、なんで?と言った。
「なんでってねぇ……わっ……!」
グイッと腕を引っ張られて。
もともと体調不良。くらくらする中で引っ張られて、私は簡単にバランスを崩した。
「ふふ、隙ありだねっ。」
そして微笑む東麻君の太腿の上に頭を乗せてしまった。
髪をかきあげられて冷えピタを貼られる。
にこっ、と笑う天使フェイス。
思わず流されそうになる、最高の笑顔。
でもこれは天使フェイスなんかじゃない。
笑顔の裏に黒いものが見え隠れしてる、悪魔フェイスだ。
「美琴先輩、相手は病人なんすから、そーゆーのはやめてあげてくださいよ……。」
「蛍君……!」
常識人!救世主!なんて心の中で崇め奉っていたら、何やら黒い気配を感じた。
「蛍君……ねえ。」
オーラを発してるのは、東麻君。
「随分仲良くなったね、蛍?」
ああ、蛍君。
折角東麻君をブラックにしない方法を教えてもらったのに、その努力は報われなかったみたいです……。
初対面でも分かる。
これがブラック東麻君だ。