プリキス!!
「ほら烏丸、入りなよ。怖くないよ?」
「や……橘、先行って?私恵の後ろから入る!寿命を伸ばしたいの!」
“音楽室”と札のかかった部屋の前で揉めていた私達を待ち構えていたのは……。
「恵君、行成君。……その子だあれ?」
ふわふわ茶髪の物凄く可愛い、
思わず守ってあげたいと言っちゃうような、女の子でした。
ちょっとダボっとしたセーラー服に、萌え袖。
ピンク色の唇に優しそうな笑顔。
ザ・女子って感じ。
中学の時からの同級生の烏丸初伊さんです、と橘が私を紹介した。
「へーぇ、可愛いっ。初めまして!西校連盟総長の姫やってます。2年の宮前 えれなです♡」
「姫?先輩が姫なんですか?!」
ちょっと引き気味の先輩だけど気にせずに迫る。
「う、うん。」
「不良達の姫なんですよねっ?」
「まぁ、そうだよ。」
えっと……?と困り顔の先輩。
単刀直入に言えって事だよね!
「握手してください!」
「へ?も、もちろん。」
姫先輩の手はすべすべでした。
「でも驚いちゃった。恵君が笑うなんて。」
うふふ、と姫先輩は手を口の前に当てて笑う。
そして、はっと驚く表情になり、
「……もしかしてっ彼女?」
「まさか。」
「じゃあ本当にただの同級生?……元カノとかっ?あ!ねぇ、中学の時の2人って「宮前先輩。」
姫先輩を止めて、質問責めにされていた私を助けてくれたのは恵だった。
「そんなに情報集めてると、先輩がスパイだって疑われますよ。」
「ごめんなさい、つい。」
スパイ?と首を傾げていると、橘が説明してくれた。
「最近ね、東に情報を密告するスパイがいる。そのせいで西の不良達が帰り道とか、一人の時に大勢で襲いかかられて怪我してるの。」
そうなんだ……。
やっぱり、各校連盟は花形だけど、危険と隣合わせなんだ。
「いつからなの?」
「この代になってからだよ。」