プリキス!!
貴方は悪魔
*
沈黙を破ったのは、私だった。
「あの……わざわざ本当すみません。」
「この辺は物騒ですし女の子1人じゃ危ないですし。気にしないでください。」
隣にいるのは、髪を青く染めてるヤンキーさん。
名前は確か……トモヒサさん。
時刻は7時を少し回ったところ。
トモヒサさんに、家まで送ってもらっています。
遡ること十分前────
「烏丸はそろそろ帰らないとね。夜は暗いし。」
ふと腕に輝く高級そうな時計を見て、橘は言った。
「俺、送ってく。行成、後は任せ「送ったら帰ってこないつもりでしょ。ダメ。」」
「俺に命令出来ると思ってる?“副総長”。」
「ああ……じゃあ“お願い”ならいいんだね?」
この二人は、仲は悪くない。
けど、たまに一触即発な空気を生み出す。
別に送りは要らないよ!と言ったんだけど、全く耳を貸してくれない。
しばらくにらみ合って、チッ、と舌打ちしたのは恵だった。
「じゃあ……智久。」
「は!?俺ですか?!」
ぐるりと周りを見渡した恵は、トモヒサという名前を呼んで。
「愛し合ってる彼女いるんでしょ?」
「は、はい。」
なら安心だ、と恵は私の手を取って歩き始める。
「烏丸、またね。」
「え、うん。ばいばい。お邪魔しました。」
「智久、ついてきなよ。」
そうして、ちゃんと送り届けてよ、とトモヒサさんは恵に背中を蹴られて、旧校舎から飛び出すように出た。