プリキス!!
もう黙っていられない。
そう思い、声をかけようとした。
でもかけなかったのは、ほんの少しだけ恵の口調が優しくなったから。
「そんな公害を姫に俺がすると思います?……あの人に、頼まれたんですよ。」
「あの人って……。」
「決まってるでしょう。如月悠河です。」
姫先輩は、悠河君が……?!と驚きの声をあげる。
私も、そんな事があったんだ、と少し驚いた。
“俺が卒業しても、えれなを姫にしておいてくれないか?恥ずかしながら、あいつが大切なんだ……。凄く……。”
彼は、そう言ったらしい。
やっぱり凄く、大切にされてたんだよ、姫先輩。
「俺は基本的に先輩は敬いません。けど宮前先輩に敬語を使ってたのも、先代に“仲良くやってくれ”と頼まれたからです。
仲良くは出来ませんけど、友好的にはしようと思ったんですよ。」
私は……守られてたんだ……。
隠飛羽を離れても、悠河君に……。
ポロポロ、ポロポロと姫先輩の涙は止まらない。
「それなのに……それほどに愛した女には裏切られて。」
「っ……ごめんなさい……。」
「勘違いしないでくださいね。俺は宮前先輩を責めてはいません。宮前先輩に優しくしてやれって言われたんで。
だから俺は、愛した女に道具扱いされた如月悠河を憐れんでるんですよ。……馬鹿な男だなって。」