プリキス!!
「どうしようね。初伊を甘やかしたくて困ってる……。」
耳元で囁かれる恵の甘い声は、頭を痺れさせる。
「初伊の我が儘、聞いたんだ……。俺の我が儘も聞いて?」
「わ、我が儘はっ、自分のために使いなさいっ!」
「その言葉をまるっきりお返しするよ。お人好しさん。」
恵はくすりと笑った。
「初伊!!」
正門の前には四つのバイクと2つの人影があった。
私の名前を呼んで、走ってくるのは吉良。
……やばい。
吉良に怒られるかな。
吉良火山噴火するかも、なんて思ってドキドキしていたら、恵から私を奪って……
ぎゅうぎゅうと抱きしめたんだ。
「吉良。」
「馬鹿。熱上がってるだろ……!」
「ごめんなさい、迷惑かけた。」
「迷惑?」
そう言うと吉良は、ピクリと肩を震わせて私を抱きしめるのをやめた。
その代わり、吉良と向かい合う形になって。
真っ直ぐな視線が、痛いほど刺さる。