プリキス!!





「迷惑なんてどうでもいい。お前が……無事ならそれで良い。それに、昔言った筈だ。」




吉良は私にだけ聞こえるように、耳打ちをする。





《これに誓って、お前を守る。》





そう言って吉良が制服の胸ポケットから取り出したのは。




「忘れたか?」







しわくちゃの四葉のクローバー。


義兄妹の、証。






忘れたか?なんて、忘れる訳ないじゃん。

そんな泣きそうな顔で言わないでよ。







「っ、………馬鹿……馬鹿兄貴!!」






私は吉良の胸の中に飛び込んだ。

だって、そうしないと涙が溢れそうで。






そんな約束、もう無効になったかと思ってた。


そんなもの、もう捨てたと思ってた。








「私の事、もう嫌になったんじゃないの……?」


「お前は手が掛かる妹だから、嫌いになろうにもなれないな。」





吉良は優しい手つきで私の頭を撫でた。






「今……妹……って?」


「ああ。お前は世界に一人の、俺の妹。大切で、手の掛かる可愛い奴。」








そこでもう、私の涙腺が崩壊した。

人目もはばからず、わんわん泣いてしまった。







< 165 / 422 >

この作品をシェア

pagetop