プリキス!!



「という訳で夜白。俺は家に帰る。また家出をする事になったら借りるな。」


「もう来んなぁ。お前の蛍の光は聞きあきた。」






吉良……改め、お兄ちゃんと夜白は軽口をたたきあってる。


ああ、そっか。お兄ちゃん、今まで夜白の家にいたんだね。





私が夜白を見ていたせいもあるけれど、ふと彼と目があった。



あ、お礼を言わなきゃ!






そう思っていると、夜白は跨っていたバイクから降りて近づいてきた。


そんな夜白にじーっと見られて、少したじろぐ。






「よし、怪我はねぇな。東麻は手が早いからもう近寄るんじゃねーぞ。」




それはどうやら私の身を案じての行為だったらしい。







「うん、分かった。……あのね……夜白、助けてくれてありがとう。それから怪我をさせちゃってごめんなさい……。」





夜白の口の端には殴られたような痛々しい傷がある。


私の自分勝手な行動が、 夜白を傷つけたんだ。

本当に反省。






俯いていれば、額に少しの衝撃。


それは夜白にデコピンをされたからで。





「俺はヤンキーだ。喧嘩位いつでもするし、こんな傷どうってことない。今日のも礼は要らねぇよ。」


「いや……電子タバコ位のお礼はするよ。」


「心の底から要らねぇ。……お前、俺に禁煙させたがるな。」




ククッと夜白は苦笑する。





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