プリキス!!
「じゃあ俺はもう行く。吉良、後で荷物取りに来いよ。」
夜白は睨み合いを止め、吉良にじゃあな、と別れを告げる。
「夜白、本当にありがとね。」
夜白を見て、再度感謝の気持ちを伝えれば
彼は私の髪を一束とって、にやりと挑発的に笑った。
「どうしたしまして、プリンセス?」
そしてそのまま、チュッと髪にキスをされ、
「“またな”、初伊。」
ひらひらと手を振りながら、夜白はバイクに乗って帰ったのだった。
「うわー……何あれ。行動がイケメンすぎて赤面モノー……。」
後ろから聞きなれた声がした。
さっきまでいなかった、橘の声。
「橘!橘、大丈夫?!恵邪魔!」
「はいはい、よけますよ。」
恵をベリっと引っ剥がし、橘の方に近寄る。
「……って、どうしたの?!大丈夫?!」
驚いて声をあげたのは仕方あるまい。
だって、橘の服はボロボロ。
まるで取っ組み合いの喧嘩の後のように。
「行成にこれだけやるとは……ちょっと侮ってたよ、アイツの事。」
「まぁ東麻組の名は伊達じゃないね。」