プリキス!!




「東麻組ってまさか……東麻君って……。」




東麻組と言われて思いつくのは見た目は綺麗なくせに、性格は最悪、そんな年齢詐称な男。


関東を統べる“大虎”東麻 千鳥(とうま ちどり)。






「……千鳥さんの息子さんだった……?」


「烏丸知らなかったの?」






橘は呆れ顔だ。




「気づかなかった……。知ってたら関わらなかった……多分。」





千鳥さんは、私の父の弟・真尋おじ様の悪友だ。





《よお、初伊子。》

《ち、ちどりさん。》

《はっ、何怯えてんだ?取って食いやしねえっての。》




取って食わないと言う言葉とは裏腹に、彼の表情は“大虎”に相応しいもので。


幼心にはそれはもう……恐ろしい人でした。






事実を知った後だと、確かに……千鳥さんに似てるなぁ。


顔もだけれど、何より性格が。





どうしよう。


東麻君経由で千鳥さんに話が行ったら。





《よお、初伊子、聞いたぜ……。うちのと遊んでくれたそうじゃねーか……。》




ケケケケ……と口角を片方上げて笑う千鳥さんを想像するよね。






「心配するな。千鳥さんはお前を可愛がってるだけだ。……まぁ、言い方を変えればからかってるんだが。」


「お兄ちゃーん……。千鳥さんはからかってるっていうよりむしろ、弱い者いじめを楽しんでるんだよ。」




だって可愛がられた覚えはないもん、とちょっと拗ねてみれば




「お……お兄ちゃん?!」




橘が叫んだ。


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