プリキス!!
「つがい……な。」
あの日、ファミレスで話した事をお兄ちゃんに告げれば。
「それはお前……気に入られるよな……。」
納得するように頷きながら、お兄ちゃんは一人言を言う。
「お兄ちゃんは、夜白と仲もいいし副総長だし……夜白の心の内、明かす相手になれないの?」
というか自分の所の副総長が一番適任だよ。
そう言えば、遠い目をしてお兄ちゃんは話す。
「あいつの家もまた……面倒な家でな。あいつは俺の事、気に入っているかも知れないが、俺はあいつの相談相手には役不足だ。
隠飛羽(ここ)は夢の秘境やら憧れの場所やら……いい言葉で飾られてるが、此処には何か問題を抱えてる奴ばっかりだな。」
見かけだけじゃ何も分からないな。
お兄ちゃんが何気なく言ったその言葉は、私の心の中に、すとんと収まった。
中から見てみないと分からない事もある。
それは“隠飛羽”に限る事じゃなくて。
人も、心も……見かけだけじゃ何も分からない……。
「……お兄ちゃんって……いい事言うよね。」
「今……何かいい事言ったか?」
「言った。」
是非とも、歩く天然名言製造機と名づけたい。