プリキス!!







「───では、いい事を言う素晴らしーい吉良君にいくつか答えをお聞かせ願えるかしら?」




ソプラノの声がした。


ドアの方に視線を向ければ。






「なんでまだ此処にいるのかしら?愚弟よ。」





可愛らしい表情で口に手を当て、ふふふと笑うお姉ちゃんの姿が。


ただし目が笑ってないというオプション付きだ。





「お姉ちゃん!」

「初伊、ただいまぁー!今日は出来るだけ早く帰ってきたのよ。初伊が一人で寂しいと思って。」





お姉ちゃんは私に近づいて、ただいまのキスをした。







「もうねー、天音が心配して心配して。お見舞いに来るって聞かなかったんだけど、途中で先生に捕まってしまって。」


「お姉ちゃん。」


「でもね、天音は来なくていいと思うのよ。王子が家に来たのがカナンの生徒にバレたら面倒じゃない。お気持ちだけ頂いておきまし「お姉ちゃん。」」






ベッドに腰掛けて、完全に一人の存在をスルーして話を続けるお姉ちゃん。


“ちゃんとお兄ちゃんを見て”という意味を込めて呼び止めれば、むうっとした顔をした。




お姉ちゃんはしばらくお兄ちゃんの事をじっと見たあと、脚を組んで冷たく言い放った。




「吉良。初伊に謝りなさい。」

「……悪かった。」

「違うわよ。頭を床につけて謝れって言ってるの。」





実の弟に土下座を強要する隠飛羽クイーン。


お姉ちゃんは本気だし、お兄ちゃんも座っていた椅子から降りて正座し始めるしで私は本当にテンパった。



「ちょ、お兄ちゃん。やめて!……お姉ちゃん、もう私、謝ってもらったから大丈夫。自分の弟にそんな事させないで!」




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