プリキス!!
「「初伊?!」」
案の定、顔色を変えて二人が来た。
「何やってるの?!大丈夫?!」
「怪我はないか?!」
すっごい心配されてるのが分かる。
お尻で滑り落ちました、なんて恥ずかしくて言えない。
「えーと……私は大丈夫。」
「頭を打ったの?!」
「病院に行こう。」
テンパると弱い。
そういう特徴を持つ烏丸姉弟は、あわあわしている。
いや、本当に大丈夫なんです。
お尻が少し青くなっただけです、きっと。
「二人とも、本当に大丈夫。……話を聞こうとして、滑り落ちただけだから。ごめんなさい。」
そう言えば、本当に大丈夫なのね?とお姉ちゃんは釘を刺し。
頭は打ってないな?とお兄ちゃんが再度聞く。
大丈夫、と言えば二人はほっとした表情になって。
不謹慎だけど、行動パターンが同じすぎて、二人は姉弟だなぁと改めて実感した瞬間だった。
それにしても。
こういう……三人で仲良く(といえるかは謎だけど)話すのは本当に久しぶり。
「嬉しいなぁ……。」
ほぼ無意識に呟いていたみたい。
私のそれを聞くとお兄ちゃんは微笑んで。
お姉ちゃんはちょっと拗ねた顔をしてからこう言った。
「仕方ないから部屋を返してあげる。……せいぜい埃だらけの部屋でくしゃみが止まらなくなって苦しみなさい。」
それはお兄ちゃんが家に戻るのを許したということ。
ていうかお姉ちゃん、素直じゃないよ。
いっつもお兄ちゃんの部屋、掃除してたの知ってるんだから。
お帰りなさい、お兄ちゃん。
ようやく一年ぶりに全員揃った。
家中にポッと暖かい光が灯ったような気がした。
「ところで……さっき破れた西のセーラー見たけれど……どうしたの?」
「「…………。」」
今日一日の事がバレて、お姉ちゃんに凄く怒られたのはご愛嬌……って事で。