プリキス!!


志乃side







初伊を看病しろとは言ったけど、本当に来るかは分からなかったし、

来ても自分がいる事がバレないように看病してさっさと帰ると思ってた。




初伊とは仲直りして欲しい。

けど、初伊を傷つけた愚弟への怒りはある。



そもそも私と吉良はあまり馬が合わないのよね。

ついきつく当たっちゃうのよ。




早くどうにか決着つけなさいよ、馬鹿。






────なんて思ってたら、

吉良が帰ってきた─────。






初伊と吉良が寝静まった頃、私は電話を掛けた。


時刻は午前一時。


深夜迷惑だ、と言われかねない時間だけど気にしない。


相手は天音だもの。






案の定ワンコールで電話に出た天音。

初伊はよく、西巴恵の事を“ヤンデレ”と呼ぶ。




意味を知りたくて調べたら、確かにその通り、西巴恵を表すような言葉だった。



でもね、思うのよ。


天音もたいがいヤンデレよね。






「志乃ー?どうしたの?」


「吉良が……帰ってきたわ。」




え、本当に?!と電話越しに驚く声。

私もまだ驚いているもの。





「良かったね、本当。ホッとしたでしょ。」


「ええ……。このままだったら初伊が可哀想だと思ってたから……。」


「志乃って本当ブレないシスコンだよね。吉良の心配もしてあげてよ。」


「いやよ。あんな馬鹿男を心配する暇はないわ。」


「とか言って……本当は死ぬほど嬉しい癖に。吉良が帰ってきて。」


「……うるさいわよ……。」




天音は私の心がまるで手に取るように分かるから、こういう時上手く嘘がつけなくて困る。


強がらないの、と電話越しにからかうような声が聞こえた。






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