プリキス!!
「にしても……どうして急に仲直りする気になったのかなぁ。」
それは私も気になって聞いたわ。
初伊が階段から落ちる前に、どうして急に帰る気になったのかを聞いたの。
そうしたら、
“見えない脅威に屈して初伊を守った気でいるのはもうやめにする”
何かを強く決意した目でそう返ってきたのだ。
結局、どうして初伊を突き放したのかの理由は“話せない”の一点張り。
帰ってきた理由もよく分からないまま。
「我が弟ながら……不思議な奴よね……。」
「じゃあ本当に何の脈絡もなく帰ってきたんだ?」
吉良が成長したって事だね、と天音は喜んで言ってくれるが、吉良が帰ってきたその背景にはとんでもない事件があると私は知っている。
天音に電話をしたのもここからが本当の目的だ。
「ねぇ天音。」
「ん?」
「今日、初伊が東に攫われたそうよ。」
その時何かを飲んでいたらしい。
天音は吹き出した。
「何それ?!」
「天音、近所迷惑よ。時間帯を考えなさい。」
「電話をかけ始めたのは志乃だからね?!」
ぜぇはぁと、天音は息を荒くする。
相当驚いたらしい。
ちなみに、驚き方は
初伊誘拐>>>>>>>吉良帰宅
くらいの差があった。