プリキス!!


美琴side



初伊ちゃんと西南が帰った後は、嵐が過ぎ去った後という言葉が本当に似合う状況だった。



たった四人で、東の軍勢を一網打尽にしたあいつら。



東の別棟内では、怪我人がお互いに薬を塗ったり包帯を変えたりとしているそうだ。





“そうだ”というのは聞いた話だから。







「いっつつつー……。あー、痛ー。」


この、目の前でわざとらしくお腹をさする黒縁メガネに。





「……蛍。うざい。うるさい。黙って。」

「さっきは本当に痛かったんすよ?!喧嘩なんてやったことない俺が、美琴先輩に全力で蹴られたんすから!」




蛍はそれを根に持ってるらしく、さっきから大袈裟に痛がってるのだ。



この部屋には今俺と蛍しかいない。


というのも理由がある。







「先輩、けっこー派手にやられましたね。頬、青紫になってます。」


「あいつ……橘って何者だっけ。」


「和菓子屋の息子ってなってますけど、多分偽情報っすね。調べておきます。」





───橘行成。



初伊ちゃんと西巴君が部屋から出ていってすぐに、あいつは現れた。



「俺が制裁加えに来るって、めぐいってたでしょ。」






こいつが僕のところに来るまでに、多くの東校生と喧嘩をしてきたのは知っていた。



僕は東麻組の次期組長だし、小さい頃から武道を中心として、組長に必要だと判断されたものは片っ端からこなしてきた。




だから四校総長の中では一番強いだろう。

これはほぼ確信。




疲労の溜まってる橘に負けるはずはないと応戦すれば。



多少の抵抗は出来たものの、あっという間に殴られ蹴られ。



気づいたら意識は飛んでて、そんな俺を蛍が見つけたと言う。






< 181 / 422 >

この作品をシェア

pagetop