プリキス!!
信じられない強さ。
あれは強いとか天才とかそんなレベルじゃなくて。
鬼才。
鳥肌がたつ程の鬼才だ。
なんであんなのが西巴君の下で副総長なんてしているのかが分からない。
ともかく、僕は負けた。
顔の目立つところに敗戦の跡まである。
「いいすか、兵隊が殴られるのと、将軍が殴られるのは話が違います。」
僕が負けた事で東の士気が下がる可能性がある。
バレないようにコンシーラーというメイク道具で隠し、なおかつ治るまでの間は東校生とは物理的に距離をおけ、と蛍は言った。
「重要な話があるから」と東校生達には僕と蛍、二人きりにさせてもらってるのだ。
「蛍、僕、みっともないでしょ。」
総長のなのに副総長に負けて、と蛍に問いかけてみれば。
「いや、負ける分には別にみっともないとは思いませんけど、ざまあみろとは思ってます。」
……なんだかこいつは喧嘩も弱いし、僕から怯えたりするくせに、東校生の中で一番生意気だと思う。
「どーいうこと、ざまあみろって。」
「そのまんまの意味っすよ。初伊先輩を攫って、挙句の果てに襲いかかったりするから罰が当たったんすよ。」
その口ぶりは、確実に初伊ちゃんを庇うものだった。
一見フレンドリーそうな蛍は意外とドライだ。
自分のお気に入りかそれ以外かで人間を分けている。
お気に入りには親切にしても、それ以外には特に何の感情も抱いていないと思う。