プリキス!!
「蛍……初伊ちゃん、どうだった?どう思った?」
「……可憐な守られてるだけのお姫様かと思ってたんですけど、違いました。強くてかっこいい人です。……危なっかしいけど。」
ほら、高評価。
蛍に好かれるのは中々難しい。
こんな一瞬のうちにこんな高評価をもらえるなんて、初伊ちゃんもまた鬼才の持ち主かもしれないね。
人を誑かす、鬼才の。
「初伊ちゃんはやめときなよ。競争相手が悪すぎて蛍が泣くだけだから。」
「ちょ、違いますよ!勘違いしないで下さい!これは憧れの感情なんです!あーこーがーれー!」
「はいはい。」
適当にあしらえば、それに蛍は膨れた。
「じゃあ逆に聞きますけど、先輩はどう思ったんすか?!」
「……え?」
僕が、初伊ちゃんをどう思ったか?
「……変な女。」
「変な女?!俺より一緒にいて感想それっすか?!」
間違いない。
初伊ちゃんへの感想は、“変な女”だ。
笑ったかと思えば怒り、怒ったと思えば泣き。
泣いたかと思えば……強くなる。
そして強くなったと思ったら、折れちゃいそうに儚くて。
「取り敢えず、あの場面での平手打ちは……かなり効いたね。危うく惚れる位には。」
その場にいなかった蛍は話の脈絡がわからないようで、何のことすかー?!と騒いでる。
初伊ちゃんは、よく分からない人だ。
でもあの西巴君や南城君が惹かれる理由はなんとなく分かった気がする。
明るい星に、人は魅了されるものだから。
嗚呼、そんな綺麗な例えは似合わないか。
甘い蜜に、蟻が寄ってくるかのように。
あの子の周りは明るいから、暗闇に慣れすぎた僕の目には痛すぎる。
「……もう、会いたくないなぁ……。」
「え?先輩、なんか言いました?」
その時の僕は恥ずかしいくらいに愚かで。
痛いくらいに真っ直ぐなあの子を、
遠ざけようと決めていた。
これが初伊ちゃんと出会った季節
春のお話─────。