プリキス!!
缶ジュースとアスファルトと太陽と
吉良が帰ってきて、1ヶ月と少しが過ぎた。
東の問題が解決して、私はもう西にいる必要はないのに、まだ西に日々通っている。
というのもお姉ちゃんが
「西巴に任せるのも……でも、アイツに会わせるよりは格段にマシよね……」
とかブツブツ言って。
「よし、腹を決めましょ。……初伊、西巴恵にまた守ってもらって頂戴?」
と、これでいいのかカナ女クイーンと思われる発言をしたせいである。
恵が新調してくれたらしい、西のセーラーを身にまとい、授業後はこっそり西に行く。
特に何をする訳じゃないけど、恵や橘、他の西校生と話したり、勉強したりするだけだ。
ちなみに帰り道は……
「初伊、迎に来たぞ。」
これでいいのか南の副総長。
お兄ちゃんに迎に来てもらっているのです。
六月の中旬。
皆あまり好きではない、梅雨の時期に突入した。
今日も今日とて雨でして。
雨はやはり憂鬱になるけれど、
今日は特別気分が良い。
だって今日は……
「キミスキの発売日だから!!」
おっと、道の往来で大声を出してしまった
。
幸い周りには人がいない。
ここだけの話、陰飛羽には秘密の本屋さんがある。
陰飛羽ギリギリの、端の端にある小さな古書店。
家から徒歩1時間はかかるそこに、毎月通っているのは。
(そこにしか、漫画が売ってないからなんだよねぇ……。)