プリキス!!
その子の第一印象は、何となく“陰飛羽”らしくない子だった。
髪は地毛をハーフアップや巻き髪に。
顔はうっすらメイクもしくはすっぴん。
それが多くの陰飛羽少女達の容姿である。
基本は良家のお嬢様。
蝶よ花よと育てられ、おっとりと成長した彼女達は敢えて着飾ろうとしない。
例外はあるけどね。
でもその子は、明らかに染めたとみられる栗色の長い髪にゆるふわパーマをかけて、おでこを出しているヘアスタイルで。
顔もメイクがばっちり決まっていて、モデルさんのようだ。
ここまで派手なのは、珍しいよね。
「え、あんた手伝ってくれんの?」
アルトの綺麗な声で、彼女は驚きの声をあげる。
「ご迷惑でなければ、お手伝いさせて下さい。」
「めっちゃ助かる。ありがとう。」
私は地面に転がっていた缶ジュースを拾い上げた。
……炭酸って書いてるけど、無事かな?
心配だ。
ちなみに正確なジュースの本数は11本だった。
目的地は近い事を彼女は告げて、
私は五本、彼女は六本の缶ジュースを持って歩き始めた。
……脇に挟んだり、腕に挟んだりの超強行的手段だったけど。