プリキス!!
「じゃあタメだ。俺、北聖の春瀬灰音(はるせ はいね)。あんたは?」
「えっと、烏丸初伊です。高校は聖カナンで……。」
そういうと、少しだけ春瀬さんは驚いたような顔をした。
「へーえ。聖カナンのお嬢様はプライド高いコミュ障ばっかかと思ったら……まともな子もいるんじゃん。」
プライド高いコミュ障……。
さんざんな言い方だ。
「何、むっとしちゃって。もしかして怒った?」
黙っていれば、怒ったと思われたみたいだ。
まぁ怒ってはないけど、自分の学校の人達を馬鹿にされたらちょっとはむっとするよね。
でもまぁ、初対面の人に「私、怒ってますー!」とは言えまい。
「別に怒ってませんよ。」
「……あんた嘘下手だね。まぁ、うん。俺もデリカシーないこと言った。ごめんね。」
東麻君にも言われたが、どうやら私は嘘が下手らしい。
春瀬さんは一度足を止め、缶ジュースを地面に置いた。
汚れないか聞いたけれど、嫌いな人達にあげるやつだから構わないらしい。
春瀬さんは、ズボンのポケットから小さめな棒付きキャンディーを出して、そのパッケージを器用にむき。
「むぐ。」
私の口に押し込んだ。
苺の甘い味がする。
「苺好き?あげる。お詫びね。」
春瀬さんはまた缶ジュースを持って歩き始める。