プリキス!!



「さっきさぁ……皆俺の事助けるの面倒がって、見向きもしなかった。けど、あんたが来てくれて若干感動したよ。」



「ふぉこまぁでのふぉとはひてまへむ。(そこまでのことはしてません。)」


「ふっ、何言ってんのか全然分からないし。」






春瀬さんはにかっと笑う。

その笑顔は、花に例えるなら向日葵みたいだ。






「兎に角、どーもね。」

「ふぁい。」

「てか敬語やめて。タメなんでしょ。」

「ふぁい。……あ、うん。」





敬語言いかけたじゃん、とまた春瀬さんは笑った。





「あ、そこの倉庫まで行きたいんだ。中に人いるから、玄関先まで付き合って。」




倉庫……。

普通の人はこんなところに用はないし、もしかしたらこの人、北校連盟の姫かもしれない。





(橘……また関わっちゃったかもです。)






倉庫の前まで来ると、春瀬さんはスライド式のドアを慣れたように足で開けた。




「おーい、誰か来てー!」






春瀬さんは人を呼んで。


ちょっとこれ置いてくるから待ってて、と私に言い残して倉庫の中に入って行った。




春瀬さんと入れ違いになるように、男の人がこっちに来る。



学ランの着こなしが如何にもチャラそうな人だ。


その人は茶髪で、黒縁メガネに……






って……ん?学ラン?



学ランって……東だよね?



ってかこの特徴は……!!





「?!……初伊先輩?!」


「蛍君?!」





そう、東の副総長、蛍君だった。




なんで蛍君がいるの?



そう聞こうとした瞬間、蛍君は私の持っていた缶ジュースを凄い勢いで奪って。




「さようなら!!」




ピシャン、と思いっきりドアを閉めた。






「何だ……?」



よく分からないけど、もう帰っていいらしい。




「本屋さんー♪キミスキが私を待っているー♪」




私は鼻歌混じりで来た道を引き返す。



漫画を買いに行ける事に浮かれて、私はこの時忘れていた。




今日は何の日か。

なんで蛍君がいるのかは、よく考えれば分かったのに。




“四校連盟総会”なんて単語、頭から一切抜けさっていたんだ。





< 192 / 422 >

この作品をシェア

pagetop