プリキス!!
兎に角ですね!と片桐は動揺したのがバレないように、大声を出して仕切りなおして。
「北原先輩が会いに行く必要はありま「蛍。」」
片桐の言葉の上から被さるように、東麻は片桐の名前を呼んだ。
声自体はそんなに大きくないんだけど、威圧感が半端なくて。
「蛍、いいから黙って戻ってきなよ。」
「……はい。」
すみません、と諌められた片桐は東麻の隣に静かに戻っていった。
それはまるで飼い主と犬のようで、ちょっと面白かった。
「ごめんねー、北原君。うちの、躾がなってなくて〜。小指詰めさせたかったら言ってね〜。させるから。」
「美琴先輩、俺東麻の組員じゃないっすよ!?」
東麻の黒い笑顔を見て相当焦ったらしい片桐は、バッと立ち上がり、東麻から距離を取る。
「……何で俺の後ろに来る。」
「吉良先輩なら助けてくれそうなんで!」
避難先は、烏丸先輩の後ろだ。
「大丈夫ですよ、片桐君。君の小指に私は興味ありませんし……てめぇらの不毛な言い争いのせいでもう行く気なくしたんだよ……なんて事も思ってませんから。ええ、これっぽっちも思ってません。」
「すみませんでした。」
てめぇらの……からなんだか声色が変わったようだが、気にしないでおこう。