プリキス!!





「あー、また会えるかなー。次会えたらデザイン取らせて欲しいなぁー。」




そう呟く春瀬に北原は、職業病ですねと笑った。






実は春瀬は、シャネルやエルメスに並ぶ超有名ファッションブランド《CIEL-in London》通称“シエル”のデザイナーである。




ちなみにシエルのトップが春瀬の母親である事とは関係なく、デザインの腕を買われて春瀬はデザイナーを勝ち取ったらしい。







「あの子は桜色……いや、瞳の色と同じ海色のワンピースとか……。あ、やっぱ対比させて空色が良い。やっぱ顔が派手だから、いっそ無地で、豪快に足元の布は切っちゃって……。」






うっとりと自分の世界に入り込んで噂の女の子のデザインを考えていた春瀬。





そんな春瀬の言葉の中には確かにあった。

“瞳の色と同じ海色”なんて言葉が。






へーえ、その子の目も烏丸の色なんだ、なんて俺はその時ふと思って───それから死ぬ程後悔した。





……気付きたくなかった。

けど気づいてしまった。




美人で、海色の目をしているカナ女の子なんて

そうそういるものじゃないってことに。





「その子……日本人じゃないんですか?」



北原も気付いたらしい。




「分からない。名前は思いっきり日本人……でも目は碧眼だよな。片言でもないし、髪も黒いし……。」




……これはもう……多分確実に烏丸だ。



会っちゃったよ……。

北に関わっちゃったよ、あの子……。



ほんっとに悪運が強いよね!




< 200 / 422 >

この作品をシェア

pagetop