プリキス!!
その“女の子”=烏丸だと自分の中で認識すると同時に、さっきの片桐の行動にも説明がついた。
烏丸が北原に気に入られでもしたら困る、と思って北原の足止めをしてくれてたのかな。
そうだったら、東麻に脅されてるとき、面白いなんて思って悪かったなぁ、なんて。
謝罪の念を込めて、未だに烏丸先輩の後ろに隠れている影の労働者をちらりと見れば。
目が、思いっきりあった。
え?何だ。何なの?
どうやらそいつは俺の事を凝視しているみたいで。
え、見られてるの俺?
それとも、隣のめぐなの?
一旦はスルーを決め込もうと思ったんだけど
“……なに?”
視線がうざったくて、思わず口パクでそう問いかけてしまった。
俺のメッセージが伝わったのか、片桐は一瞬目を輝かせる。
そして同じように口パクで11桁の数字の羅列を告げた。
その数字……確か、片桐の携帯の番号だった気がする。
掛けろって事?
「……ちょっと外の空気すってくる。」
そうめぐに伝えて、俺は部屋を後にした。
ザー……
倉庫の出入り口の扉を開ければ、外は灰色の空。
雨のせい、梅雨のせいで空気はジメジメと俺の体にまとわりつく。
「えーと、電話電話……。」
ズボンのポケットからスマホを出し、俺は片桐の電話番号と思われる番号を打ち込んで。
プルルルル、プルルルル、プルルルル……
「……出ないし。」
何コールしても出ない相手。
電話してって事じゃないの?と心配になれば。
ガラガラガラ───
「……当ってた?」
「何がっすか?」
本人が登場した。