プリキス!!




その“女の子”=烏丸だと自分の中で認識すると同時に、さっきの片桐の行動にも説明がついた。




烏丸が北原に気に入られでもしたら困る、と思って北原の足止めをしてくれてたのかな。


そうだったら、東麻に脅されてるとき、面白いなんて思って悪かったなぁ、なんて。





謝罪の念を込めて、未だに烏丸先輩の後ろに隠れている影の労働者をちらりと見れば。



目が、思いっきりあった。





え?何だ。何なの?

どうやらそいつは俺の事を凝視しているみたいで。




え、見られてるの俺?

それとも、隣のめぐなの?


一旦はスルーを決め込もうと思ったんだけど




“……なに?”





視線がうざったくて、思わず口パクでそう問いかけてしまった。


俺のメッセージが伝わったのか、片桐は一瞬目を輝かせる。


そして同じように口パクで11桁の数字の羅列を告げた。



その数字……確か、片桐の携帯の番号だった気がする。


掛けろって事?




「……ちょっと外の空気すってくる。」



そうめぐに伝えて、俺は部屋を後にした。





ザー……



倉庫の出入り口の扉を開ければ、外は灰色の空。


雨のせい、梅雨のせいで空気はジメジメと俺の体にまとわりつく。



「えーと、電話電話……。」



ズボンのポケットからスマホを出し、俺は片桐の電話番号と思われる番号を打ち込んで。




プルルルル、プルルルル、プルルルル……



「……出ないし。」



何コールしても出ない相手。


電話してって事じゃないの?と心配になれば。




ガラガラガラ───




「……当ってた?」

「何がっすか?」



本人が登場した。


< 201 / 422 >

この作品をシェア

pagetop