プリキス!!



「で、何?」



雨降る軒下にいるのも寒いので、手っ取り早く本題を聞く。



「あ、そのー……気付きましたよね?」

「烏丸の事?」




そう言うと、片桐は項垂れた。

苦労も台無し……とそいつは呟くけど、そんなことはないだろう。

だって現に、烏丸を悪魔の(変態北原の)手から救い出したんだから。




「台無しって事はないよ。片桐ナイス。」



ポンポン、と頭を撫でた。

これは烏丸がへこんでるときやってあげている癖。

男相手にまずかったかな?と一瞬思ったけど。





「橘先輩……。マフィアの跡取りなんて、どうしようもなくやばい家業やってるくせに、あの人達の中では一番まともで俺嬉し泣きしちゃう。どうしよう、転校したい。」



予想外に喜んでいた。


そんな片桐に「これ以上面倒なのは要らないかな」と秒速で返す。





「で、こんな所で話するって事は、あいつらに聞かせられない話なんでしょ?」



わざわざ電話させる、なんて裏工作をさせてまでこっそり話したかった事とはなんだろうか。





「あの。西巴先輩は、初伊先輩の事、好きなんですよね。」

「好き……。うん、多分。並々ならぬ愛を注いでる事は確かだよ。」




めぐは烏丸をいつも好きだ好きだと言ってるけど……

その好きは男と女の好きなのか、妹のように好きなのか、はたまた師匠や親に見せるような好きなのかはあまりよく分からない。



ただ、烏丸に依存している事は分かる。

絶対に離したくないということも分かる。



あいつの気持ちは分かりやすそうで、一番よく分からない。






< 202 / 422 >

この作品をシェア

pagetop