プリキス!!
あともう一つ確認なんすけど、と片桐は前置きをして。
「初伊先輩は西巴先輩と付き合ってはないんすよね?」
「あの2人の関係性は本当に見えないけど、付き合ってないのは確かだよ。」
「なら予定通りっす。……じゃあ橘先輩、交渉を始めましょうか。」
「交渉?」
不敵に笑う片桐に、俺は問う。
「ねぇ……それって、西の副総長と東の副総長の交渉?それとも、俺と片桐の個人としての交渉?」
「決まってるじゃないっすか。副総長同士の交渉っすよ。」
個人の交渉ならLINEで済ませますからと付け加えて、彼は俺に一歩近づいた。
「初伊先輩は、不思議な人ですよね。東西南北の総長を、手玉に取る日も近いんじゃないっすか?」
「それ言うの勘弁して……そう言う事言うと現実になりそう。」
なんだか最近悪い予感がしている。
東西南北総長に、烏丸が振り回される予感。
烏丸には“西巴恵”という超面倒なのを手なずけるのみならず、骨抜きにしたという実績がある。
そしてまた、“南城夜白”というヘビースモーカーに、出会ったばかりにも関わらず禁煙させたという事実もある。
この調子で残りの二人も──なんて……
有り得るから、本当怖い。
あいつらのせいで、烏丸が泣くんじゃないかって気が気じゃない。