プリキス!!
「橘先輩は、初伊先輩の事、大切ですよね?」
片桐の言葉は俺に尋ねるようだけど、疑問系じゃない。
こいつは、烏丸が西の弱みになることを分かって交渉しているんだ。
どうせ、烏丸を痛めつけられたくなかったら従えとかなんとか言うつもりなんだろう。
「……烏丸使って脅しかけてくるとはいい度胸してるな?」
「や、や、違いますよ!早まらないで下さい!俺がしたいのは“脅し”じゃなくて……初伊先輩にどうこうするつもりはないんすよ!」
烏丸を取引材料にされた事がちょっと……いや、凄くむかついて、 “仕事用”の顔で凄めば、片桐は震え上がって反論した。
「守るのを、手伝うって言ってるんすよ。」
「……は?」
まもるのをてつだう……
守るのを手伝う……?
「守るのを手伝うもなにも、俺はお前らから烏丸を守ってるんだよ?インフルエンザウイルスが、人がインフルエンザにかからないように頑張るって言ってるようなものだよ?」
「さりげに人をバイ菌扱いするのやめてもらっていいすか。」
片桐は死んだ目をして俺を睨む。
ちなみにインフルエンザに例えたのは無意識。こいつを病原菌扱いしたのも無意識だ。
「橘先輩が強いって言ったって四六時中初伊先輩にひっついていられる訳じゃないっしょ。今日みたいに、先輩がいなくて俺がいる時は初伊先輩を助けるって言ってるんです。魅力的な提案でしょ?」
確かに、今日は役には立った。
もしあのまま烏丸が室内に入ったとしたら、待ち構えていたのは……うん、大変面倒な状況だったから。