プリキス!!
「代わりに何を望む?片桐は……いや、東は烏丸を助けてくれる。で、西にどうして欲しい?」
話だけは聞こう、と耳を傾ければ────
───返ってきたのは、耳を疑う言葉だった。
「先輩、休戦しましょ。俺は西に攻めないで欲しいんです。」
そう言う片桐は虚勢なのか本心なのか、
微かに笑みを浮かべていた。
“休戦”
長い間……
というか陰飛羽ができて以来、東西南北は憎みあい、対立し合ってきた。
理由は簡単。
どの連盟よりも優位な立場に立つため。
そしていずれは社会に出た時に優位な人脈を築くため。
だから憎みこそしても、休戦……争いの手を緩めることなんて、未だかつてなかったに違いない。
「……休戦って言っておいて実は嘘でしたーって攻める魂胆?」
「本当の本当に休戦です!橘先輩に嘘ついたらどうなるかなんて分かりきってるじゃないですか。」
「いや…………ねぇ、それ、東麻は許可したの?」
先日の殴り合いでは、憎々しげに「覚えときなよ」と言われた覚えがある。
東麻の態度と片桐の言うことがまるで逆。
東から休戦を言い出すなんて、いわば負けを認めるようなもの。
そんなに弱い心持ちの奴じゃないだろうに。
「……ねえ片桐、目、泳いでるけど。」
「と、東麻先輩は許可しました!」
「要するに独断で言ってると。」
何故バレた!という顔をしている片桐。
後ろめたすぎて東麻の呼び方が変わってるんだよ、と言うことは教えない。