プリキス!!
「片桐きもい……。」
俺は大きく溜息をついて項垂れる。
きもい、は一応褒め言葉。
片桐の頭がきれすぎてきもいって事ね。
「先輩、俺は黒爪の正体は言いませんよ。」
「弱みにでもなんでも使えばいいよ。……え?」
片桐の勝ちだ。
そう諦めて、黒爪は自分だと認める発言をしたんだけど、
片桐は正体は言わないと言う。
「黒爪がいなくなったらうちの総長を一発弱らせるネタがなくなっちゃうんで☆」
「お前なんか妙に東麻に強気に行くよね。」
「それだけじゃないすよ。陰飛羽の風紀は多少は黒爪のお陰で良くなってきてるんすから……平和主義の俺としては黒爪は必要なんです。」
「片桐……。」
四校連盟総長・副総長の中で自分と同じ位の苦労人であり、常識人である片桐になんだか仲間意識まで湧いてきて。
「お互い苦労してるけど……頑張ろうね!」
「んー……俺そこまで橘先輩と仲良くなる気ないんで勘違いしないで下さいね!」
笑顔で語りかけた俺に片桐は笑顔で答えて。
返ってきた答えは、俺を笑顔のまま固まらせた。
……後輩が、小憎たらしい過ぎる件について。
「にしても西巴先輩といい、橘先輩といい……初伊先輩の事本当に好きっすよね。」
なんとか手刀をかましたくてたまらない気持ちを抑えていれば、そんなことを言い始めた片桐。
「西巴先輩なんて……初伊先輩といる時といない時じゃ別人じゃないっすか。……なんでそんなに初伊先輩の事、大切にしてるんすか、あの人?」
「さぁ。」
さっきの発言のせいで俺が怒って素っ気なくしてると思ったらしい片桐は、
そこそこ仲良くする、に変更しますから教えてくださいよーと言う。
まぁ内心イラッときてるけど、それが理由で教えないんじゃなくて。
「気づいたら、あんなになってたんだよ。」