プリキス!!

夢の中







西凛に帰ってきた。




もしかしたら烏丸がいるんじゃないか、と心配になったけれど、


本を買いに行くと言っていた事を思い出してほっとした。





こんな状態のめぐに合わせたら、心が壊れてしまう。

烏丸のじゃなくて、めぐの心が。





めぐは帰ってくるとすぐに音楽準備室──メグが自室としている部屋に閉じこもった。



「総長、どうかしたんですか?」と心配する西校生には、放っておいてあげてと言って対応する。





めぐは……烏丸への好きが強すぎる。

まさに“狂”愛。



【烏丸の幸せを見守りたい、笑顔にしたい。】





頭の中ではそう思うけれど、自分の気持ちと行動が言う事を聞かないんだろう。


理想と現実の間で苦しんでいるといっても過言ではない。






明後日……月曜日には、本当なら烏丸は西に来る。

だけど、こんな状況じゃ来ない方がいい。


俺は烏丸先輩に、詳しくは話さず、けれども烏丸をしばらく南で預かっていてほしいという旨を電話で伝えた。


烏丸にはしばらく忙しいと伝えて欲しい、とお願いして。






それから俺は自室として使っている資料室で、

これからどうするべきかを一生懸命考えていた。






─­­­­─────────






暗闇の中、サラサラの長い髪の少女が目の前を歩いている。


ありふれた後ろ姿だけど、俺が彼女を間違える筈がない。



だって彼女は俺の大切な親友なんだから。




「烏丸。どこ行くの?」




そう聞けば、烏丸はゆったりと振り返った。

海色のブルーアイは綺麗に三日月の形に細められる。




「橘君、御機嫌よう。」

「御機嫌よう……ってそんな他人行儀な。どこ行くの?めぐの所?」

「めぐ……?ああ、西巴君の所ですか?いいえ、行きませんわ。」



烏丸の様子が、おかしい。





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