プリキス!!
泣いてる……のかな。
そう思って見ていれば、彼女はしたを向いたまま、準備体操のように足踏みを始めて。
「あー……あー、もう!!びっちゃびちゃじゃん!もー……なんなのよ!!!」
足踏みはどんどん大きくなっていって、最後には烏丸さんは素の状態で、地団駄を踏んだ。
「ばかばかばかばかばーかっ!ブスだ?そんな事知ってるよ!こちとら7年きらっきらの兄と姉に囲まれて育ったんだからさぁ!」
ぴょんぴょん、とジャンプをしながら彼女は怒っていて。
はたから見ればかなり怪しい状況だ。
「なんでこんな事されなきゃいけないの。西巴君と話したから?知らないよ、そんなの。私が誰と話そうが勝手でしょーが!」
そう言って初めて顔をあげた彼女は、
……笑っていた。
なんで笑ってるんだろう。
ううん、なんで笑えるんだろう。
辛くないのかな。
「烏丸さんはなんで笑うか知ってる?」
心を読んだかのように、西巴は俺に問いかける。
「笑ってないと、泣いちゃうからだよ。」
西巴のその言葉は、凄く重く俺の心に響いた。
……辛くない訳、ないじゃん。
いじめられて、それでもいつでも気丈に微笑んで。
彼女の強がりを俺は強さと勘違いしていた。