プリキス!!
さて、ここからは本当に気が抜けない。
髪を手で整えてから人にはバレないように深呼吸をして、古い白塗りの木で出来たドアを開けた。
「皆さん、ご機嫌よう。」
私は淑女、私は淑女と自己暗示。
笑顔でバックに花を飛ばせる技術は努力と根性という汗臭いもので培ったもので。
鞄を自らの足元に置き、スカートの裾をちょこんと摘みあげて軽くお辞儀をする。
「ご機嫌よう、烏丸さん。」
「ねぇ烏丸さん、こちらにいらして。」
「まぁ、ずるいわ。私達も烏丸さんと話すために待っていたのよ。」
「ふふ、皆さん、順番に行きますから待っててくださいな。」
「「「「「はい、烏丸さん!」」」」」
はい、えーと……気を抜いたらいけない理由はですね。
何故かクラスで若干モテているからなんです。
「烏丸さん、今年の夏休みはどちらに行かれる予定ですの?もし宜しければ私の別荘に来て頂けませんこと?」
クラスメイトの一人、笙乃さんが私に少し照れた顔でそう告げると、
「まぁ、抜けがけは駄目ですよ!私も烏丸さんに来て欲しいですわ。」
「あら、私も。」
「私も!」
……と、クラスの半分位の女子から求められる位にはモテています。