プリキス!!
「おい、あっちはいたか?」
「まだ見てねぇな。」
声は段々と近づいてくる。
このままだったら確実に遅かれ早かれ此処に彼らは来るだろう。
なんとかしないと。
私は立ち上がり、その場から一旦離れる事を決意した。
東麻君はそれでいいよ、と微笑んでる。
……それでよくないでしょう。
「待ってて。」
そう一言だけ言い残して、私はその路地を飛び出した。
大通りに出て、大きく息を吸う。
「きゃあ!人が倒れてる!」
そう叫べば、不良達が私の側にやって来る。
「おい、その人って……!」
「……学ラン姿の男の子ですわ……。」
聖カナンらしく、お嬢様らしく、突然のアクシデントに怯える女の子を装って。
「おい、そいつ何処行った?!」
「あっちに走って行きました。」
私の家から真逆の方向を指させば、男達はその方向へ大急ぎで走っていった。