プリキス!!
何か不味い事しちゃった?!と焦って東麻君から治療の手を遠ざける。
けれどその手はすぐに彼に掴まれて。
「……ごめんね。」
ちょっと気まずそうに笑って、東麻君は謝罪の言葉を口にした。
何がごめんなの?なんて聞かなくても、東麻君に謝られる覚えは大分ある。
この前襲われかけたし、嫌な事も言われたし。
橘を怪我させたし。まぁそれについては橘もやり返したからどっちもどっち……だね。
ごめんで済む話じゃないし、済ませられる話じゃないかもしれないけれど、
目の前でシュンとする、うさぎさんに“許さない”なんて言える訳なくて。
「こないだの事はもういいよ。」
気づけばそう言っていた。
「うん……ごめん。」
「だから、もういいよ。もう謝らないで?」
「それだけじゃなくて……今日の事も。ごめん。」
しょんぼりラビット東麻君が謝っていたのは、前の事だけじゃなかったみたいで。
「本当に、面倒かけてごめん。」
真っ直ぐな東麻君の視線。
それは、“ごめん”が上辺だけの言葉じゃなくて、心からの言葉なんだって事が痛いほど伝わってきて。
「もう、謝らないで。東麻君を助けたのは私の我が儘だし……それに、“ごめん”より“ありがとう”の方がいいなぁ。」
折角なら、謝罪の言葉より感謝の言葉のほうがうれしい。
悲しい顔より、笑顔の方が嬉しいよ。