プリキス!!
取り敢えず、先に東麻君が帰ってきていて、乱闘騒ぎになっているという事態は防ぐ事が出来た。
私が着いた時、もう喧嘩してましたーっていうのが一番どうする事も出来ないパターンだから、それは防げてよかった。
幸いことに、マンションの前には割と太めな木が何本か植えられていた。
そこに隠れてカラーひよこを思い出させるヤンキー(長いのでカラーさんにしよう)を覗き見ることが出来たし、
マンションから逆方向を見ればそこは歩道。
東麻君が戻ってきたらバッチリ見える。
「よし、完璧。」
時々通行人に変な目で見られるけれど、別にいいさ。
変な事をやってるのがカナ女生だってバレなければそれでいい。
にしても、東麻君は余程遠回りをしているのかな。
私より先に出ていって、私を撒く位足が早いのにまだ帰ってこない。
それってちょっと変じゃない?
もしかしたら家に帰るなんていうのは嘘で、本当は違うところに向かったとか────?
色々考えられるけど、それは可能性でしかない。
今は東麻君が此処に来るのを待つしかないよね。
「……お前───さっきの?」
「え?」
木越しにカラーさんを見ている時だった。
死角とも言える背後から話しかけられたのは。